JavaOne 2007: Oracle General Session
JavaOne 2007の2日目、朝8:30から始まった最初のセッションは、OracleのGeneral Sessionでした。
他のGeneral Sessionと同様に、下記ページからWebcastで見ることができるので、興味のある方は見てみてください。時間は45分程度です。
- JavaOne 2007 > Oracle, Platinum General Session "Going to the Extreme: Software Infrastructure for a New Era" (2007/05/09)
General Sessionの内容を、簡単にまとめておきます。
セッションの冒頭で、エンタープライズ・システムにとって重要な4つのキーワードとして、Java EE 5、SOA/EDA、Web 2.0、Gridを挙げていました。以降の内容も、これに沿ったものになっています。
まずは、JavaOneだけにJava EE 5について。MVCの各レイヤごとにキーとなるテクノロジとして、JSF/Ajax、JSF、EJB 3.0/JPAを挙げました。そして、リッチなUIとして、Ajaxに加えて、Flashやモバイル・デバイスの必要性も強調 (JSFコンポーネント Oracle ADF Faces/ADF Faces Rich Clientは、Ajax、Flash、モバイル・デバイス向けのレンダーキットを提供済み)。
さらに、MとVCとの間のデータ・バインディング (JSR-227) にも触れました (Oracle ADFでは、ADF Data Bindingと呼んでいます)。
永続化 (Persistence) については、ORマッピングのみならず、OX (オブジェクト/XML) マッピングも必要になりつつあることに触れました。そして、ORマッピングやOXマッピングをサポートしているOracle TopLinkを「EclipseLink」としてEclipseに寄贈したことも、改めて紹介。
Java EE開発のデモでは、DVDのショッピング・サイトを使って、Ajax対応のJSFコンポーネント「ADF Faces Rich Client」によるリッチなUIを紹介 (Flashとして描画されたグラフや、ドラッグ&ドロップで商品をカートに追加する様子など)。また、JDeveloper 11gによる開発の様子も簡単に紹介し、RIAの開発でもIDEで簡単に設定していける点を強調。
- S/N Ratio > Java EE 5対応 OC4J/JDeveloper/TopLink 11g (2007/05/07)
なお、ADF Faces Rich Clientの開発の様子は、オンライン・デモの "Rich Client (Ajax) JSF Development" や "Data Visualization and Graphs for JSF" あたりでも見ることができます。
- OTN > Oracle JDeveloper 11g > Online Demos
さて、セッションのJava EE開発のデモ最後には、ADF Faces Rich ClientをApache MyFacesに寄贈することをアナウンスしました。Oracleは既にADF FacesをApache MyFacesに寄贈しており、現在ではApache Trinidadと呼ばれていますが、今回の寄贈はこれに続くものです。
- Oracle Previews Enhanced Java Tools for Developing Rich Internet Applications; Updates Java Application Server - Donates AJAX-enabled Rich Client Components to Apache (2007/05/09)
セッションはWeb 2.0のパートへ。ここでは、エンタープライズ・システムでもWeb 2.0の技術を使ってコラボレーション、コンテンツ統合、コミュニケーションを行う「エンタープライズ Web 2.0」や「エンタープライズ・マッシュアップ」を紹介。
続いて、MatrixのDVDを買ったユーザがMatrixファンのコミュニティ・サイトにアクセスした、というシナリオで、Oracle WebCenter 11gのデモを紹介。掲示板、コンテンツ管理、タグ、RSS、VOIPなどの技術を活用して、コミュニティでのいろいろなアクティビティを行っていきます。ユーザがブラウザ上でページ・デザインを編集できる機能 (WebCenter Composer) で、YouTubeにあるMatrixのビデオを簡単に追加する、というデモもありました。
Oracle WebCenterの現行リリースは10g (10.1.3.2) ですが、今回のデモで使われたのは、次期バージョンの11gです。残念ながら、WebCenter 11gは、現在のところプレビュー版の一般公開は行っていません…。
さて、セッションはSOA/EDAのパートへ。ここでは、Springを使って実装されたSCA/SDO準拠の新しいサービス・インフラストラクチャ (Oracle SOA Suite 11g) を紹介し、メディエーション、オーケストレーション、イベント 、セキュリティ、ガバナンスなど、SOAに必要な要素を概観していました。Oracle SOA Suiteの現行リリース 10g (10.1.3.1) を、SCAベースのランライムで再構築して機能強化している、といったところですね。
SOA/EDAのデモでは、ショッピング・サイトからの発注が、BPELを中心にCEP、Mediator (ESB)、ヒューマン・ワークフロー、BAMなども組み込んだプロセスによって処理される、というシナリオ。BAMでのモニタリングを受けて、発送処理を行う倉庫を追加する、という流れで、JDeveloper 11gでのSCA開発の様子をデモしました。
JDeveloper 11g自体は、前述の通りプレビュー版が公開されているのですが、今回のデモで使われたSCA/BPEL/Mediator開発のモジュールはまだ含まれていません…。見てみたい方は、僕のPCでいつでもデモするので、連絡ください :-)
- OTN > "Next-Generation SOA Infrastructure"
- Oracle Unveils Next-Generation Architecture for Oracle Fusion Middleware - Outlines Industry's First Unified Middleware for Grid computing, SOA, and Event-Driven Architecture (2007/05/09)
さて、セッションは、ここでちょっとだけJava EEの話に戻り、人気の高いSpring Frameworkのサポート強化について紹介しました。OC4JのSpring統合 (OC4JJtaTransactionManagerなど) の情報や、Spring Extension for JDeveloper、チュートリアルやサンプルなどが含まれる「Oracle Development Kit for Spring」のアナウンスも。
- Oracle Announces Availability of Software Development Kit for Spring - Meets Developer Demand for Integration Between Oracle Fusion Middleware and Open Source Development Framework (2007/05/09)
- OTN > Spring
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- OTN > Oracle Development Kit for Spring
- S/N Ratio > OC4JJtaTransactionManagerをSpringに寄贈 (2007/02/28)
- S/N Ratio > 新着JDeveloper拡張機能 (Spring、GWT) (2007/01/26)
さて、セッションは最後のグリッドのパートへ。ここでは、まずSPECjAppServer2004 (J2EE 1.4のベンチマーク) に新たに2つのベンチマーク結果を提出したことを発表。1つは、CPUコア当たりの性能で世界記録、もう1つは、X86ベースのシングル・ノードの中で世界記録、というものです。
- All SPEC jAppServer2004 Results Published by SPEC
- Oracle Application Server 10g Outperforms IBM WebSphere and BEA WebLogic - SPECjAppServer2004 Benchmark Results Demonstrate Oracle's Superior Per Core Performance (2007/05/09)
- Oracle Application Server 10g Earns Best Single Node Result For x-86 Based Systems - Oracle Is the Best in Test for x-86 Class of Servers in SPECjAppServer2004 Benchmark (2007/05/09)
さらに、グリッド環境でのスケーラビリティ (買収したTangogol Coherence)、高可用性、管理性 (Oracle Enterprise Manager)に触れてから、Tangogol Coherenceのデモへ。このデモでは、Coherenceによるデータ・グリッドにノードを追加したり削除したりすると、シームレスにデータがノード間で分散され、データ処理が継続される様子をデモ。
- S/N Ratio > Oracle、Tangosolを買収 (2007/03/26)
というわけで、Java EE、Web 2.0、SOA/EDA、Gridとと多岐に渡る分野でのOracleの最近の動向を、駆け足で紹介したセッションとなりました。
関連記事もいくつか出ていますので、載せておきます。